第2章 実技
問1 「構えと目付け」について説明しなさい
MUNASHI的解答例
目付けとは相手を前にしたときの自分の目の置き所のことであり、基本的には相手の目を見ながらも、ぼんやりと身体全体を見るように意識をする。イメージとしては相手の目の後ろ(後頭部)にピントを合わせるような感覚である。
これを表現する教えとして「遠山の目付け」「紅葉の目付け」「鶴見二つの目付け」などがある。
遠山の目付け | 一点を凝視するのではなく、遠い山を見るように、相手の全体に注目する |
紅葉の目付け | 紅葉を見るときに一枚の葉だけを見るのではなく、木の姿全体を見る例え |
二つの目付け | 特に相手の剣先と拳に注目する |
脇目付け | 相手の腰あたりに目を付けて、相手と視線を合わせないようにする |
鶴見二つの目付け | 宮本武蔵のいう、心を見る「観の目」を強く働かせ、現象をみる「見の目」を弱く働かせて現象に惑わされないようにする |
【全日本剣道連盟学科審査解答例より引用】
問2 「足捌き」について説明し、「指導上の留意点」を述べなさい
MUNASHI的解答例
足捌きは、剣道の打突や移動の際に使用する足の運び方で、基本中の基本である。「一眼二足三胆四力」という教えからも、剣道では足は二番目に重要とされている。
足捌きには大きく次の4つがある。
歩み足 | 前後に遠く速く移動する場合の足捌き |
送り足 | 前後左右斜めに近く速く移動する場合や打突の際に使用する足捌き |
開き足 | 相手の打突に対して、身体を交わしながら打突する場合の足捌き |
継ぎ足 | 遠い間合いから打突をする場合の足捌き |
指導上の留意点は以下の通り
- 立ち合いの間合いでは、姿勢、構え、竹刀の握り方などを正しくさせる。
- 初心の段階では、動作を大きく正確に行うようにさせる。
- 肩の余分な力を抜いて、柔軟に左右均等の打ち方になるようにさせる。
- 連続左右面打ちの角度が45度ぐらいになるようにさせる。
- 動作は正しい足捌きで行わせ、後退の際の引き足が歩み足にならないようにさせる。
- 振りかぶったときに、左拳を必ず頭上まで上げさせる。打ちおろしたときには、左拳が下り過ぎたり、上がり過ぎないようにさせる。
- 左拳は常に正中線上にあるようにさせる。
【全日本剣道連盟学科審査解答例より引用】
足捌きについてはコチラの記事にも詳しく書いています。
問3 「切り返しの目的と効果」について説明し、「指導上の留意点」を述べなさい。
全日本剣道連盟模範解答例
切り返しは、剣道の姿勢と構え、打ちの刃筋や手の内の作用、足捌き、間合いの取り方、呼吸法、さらに強靭な体力や旺盛な気力を養い、気剣体一致の打突の修得を目的とする。習熟の状況に応じて、大きくゆっくりとした切り返しや小さく速い切り返し、速度、本数などに変化をつけることで、次のような効果があげられる。
- 身体能力の向上、身体の柔軟性
- 体の運用、足捌きの敏捷性
- 正しい刃筋と打ち方、手の内の修得
- 呼吸法の修得、肺活量の増大
- 筋力の強化、精神力の強化
- 気剣体一致の打突の修得
- 準備運動や整理運動として活用実施することにより、身体の調整を行うことができる。
指導上の留意点は以下の通り
- 立ち合いの間合いでは、姿勢、構え、竹刀の握り方などをただしくする
- 初心の段階では、動作を大きく、正確に行う
- 肩の余分な力を抜いて、柔軟に左右均等に打つ
- 連続左右面打ちの角度は45度程度とする
- 正しい足捌きで行い、特に後退時の引き足が歩み足にならないこと
- 振りかぶったときには、必ず左拳を頭上まで上げ、振り下ろしたときは左拳が顔の正面に来るようにする
- 左拳は常に正中線上を維持する
- 呼吸は、最初の正面打ちごと、2回目の正面打ち後の2回のみ
- 相手の竹刀のみを打ったり、空間を打突することなく、確実に左右面部位を打つ
- 頭や腰、膝などで調子をとって体が上下にブレないようにする
- 正面打ちは、一足一刀の間合いから正確に打つ
- 練度に応じて、旺盛な気力をもって息の続く限り一息で行い、体勢を崩さずに連続で左右面を打つ
- 稽古の前後には必ず行うように習慣づけさせる。
【全日本剣道連盟学科審査解答例より引用】
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