剣道の「攻め」というのは簡単そうで、とても奥深いものです。そもそも「攻め」とはなんでしょうか?今回は、この「攻め」について3つの攻めを軸に私が学んできたことの振り返りとして解説していきたいと思います。これを意識して稽古や試合ができるようになると、剣道がもっと楽しくなり、さらにレベルアップすること間違いなしです。
第1章 剣道の攻めとは?
剣道は心理戦である
剣道における「攻め」の定義には、様々が教えや考え方があります。私がこれまで学び、考えてきた「攻め」とは、「こちらの動きに対して、相手の心を動揺させ、身体を反応させるもの」と考えています。
言い換えると「相手の反応を引き出すための、自分の心と動作の総称」と言ってもいいかもしれません。
つまり、剣道は「心理戦」なのです。
四戒
剣道において特定の心の状態を戒める教えとして、「四戒(しかい)」という言葉があります。
「四戒」とは
- 驚(きょう)「予想していない相手の動きに驚いてしまう事」
- 懼(く)「相手の気迫や雰囲気(風格)などを恐れて萎縮してしまう事」
- 疑(ぎ)「自分の実力に自信をもてず、負けてしまうのではと疑う事」
- 惑(わく)「何を打つか迷ったり、相手の動きに戸惑ってしまう事」
この4つの心の状態になってしまう事を戒める教えです。つまり、自分の動作や気迫によって、相手の心をこの4つの状態に変化させることができるのが「攻め」と言えます。
心がこの状態になってしまうと、正確な判断や動きができず、呼吸も乱れるので、相手のペースにはまってしまいます。剣道で強いと言われる選手は、相手の攻めに動じない「不動心」を作る修練を積んでいます。出来る限り自分の構えを崩さず、いつでも打てる態勢を作っておくというこが大切です。
四戒が引き起こす反応とは
では四戒の状態になったときの相手の反応とは具体的にどんなものがあるでしょうか?
- 居付く(動きが一瞬止まってしまう)
- 竹刀(手元)が動く(中心から外れる)
- 我慢できず前に出てくる あるいは 技を出してくる
- 後ろにさがる
- 左右によける
おもにこの5つの反応が見られると思います。自分の攻めが相手に効いていれば、いずれかの反応が見られるということになります。逆に相手に攻めが効いていない場合は、相手が何も動じないので反応がないか、薄くなります。
剣道では、この攻めによって相手の構えを崩し、隙を生むという反応を引き出すことで、打突の好機(チャンス)を作り、瞬時に攻撃を仕掛けることが重要になります。では次に具体的な攻め方について考えてみましょう。
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