第3章 年齢に応じた指導の工夫
初心者への負担を軽減する指導
剣道初心者への指導では、まず身体的・精神的な負担を軽減することが重要です。特に少年剣道では、小学生や未経験者を対象とする場合、体力差や運動能力の個人差を十分に考慮した指導法が求められます。初心者が怪我をしないように、安全を確保しつつ基本動作や礼法といった基礎を丁寧に教えることで、剣道の理念である「人間をつくる道」の入り口を正しく示すことができます。
最初は竹刀を持たない素振りや足捌きの練習を中心にし、「具体的な動きをイメージしやすい説明」を行うと効果的です。また、長時間の稽古や過度な負担は避け、適切な休憩を取り入れることで初心者にも剣道を楽しんでもらえるように工夫します。これによりモチベーションを維持し、継続的な成長を促すことができます。
若年層のための楽しい剣道指導法
剣道の稽古は全体的に厳しいイメージを持たれることもありますが、若年層への指導では楽しい要素を取り入れることが鍵となります。特に小学生や中学生の少年剣道においては、指導者が遊び感覚を交えた練習方法を考案し、剣道への興味を引き出すことが重要です。
例えば、素振りや打突練習をゲーム形式に変えたり、目標を設定して達成感を与えることが効果的です。また、チーム対抗戦やミニ試合を行うことで競争心を引き出し、剣道の楽しさを実感できるようにします。全日本剣道連盟が重視する「礼法」を同時に教えることで、節度ある生活態度の重要性にも自然と繋げることができます。
社会体育指導員として、子供たち一人一人に寄り添い、どのような場面でも「剣道が役に立つ」と実感できるよう指導することが大切です。
高校生や上級者への実践的指導
高校生や上級者へ向けた指導では、基本の徹底した再確認を行いつつ、剣道の「試合」に近い実践的な稽古を重視します。この段階では技術力や試合感覚の向上が求められるため、現実に即した指導案を用い、高い水準の剣道を目指すことが必要です。特に、試合で勝ち抜くためのポイントとして「足捌き」と「間合い」の理解を深める指導が効果的です。
また、上達した剣道技術だけでなく、人格形成も引き続き意識することが重要です。上級者ほど礼節を重んじる姿勢が求められるため、剣道の精神性を教えることで、「人間をつくる道」としての剣道の価値を再確認させることが理想です。
指導者自身が剣道の理念に基づき丁寧に指導し、竹刀を通じて「剣の理法」を深めることで、生涯剣道へ導く指導法を実践していくことが求められます。
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