第2章 剣道の稽古を通じた人間形成
心技体のバランスを育む指導法
剣道の稽古では「心技体」の調和を目指すことが重要です。この三つの要素は、相互に補い合いながら高められるべきものです。
まず、「心」の鍛錬では、少年剣道で教えるべき礼儀や根気、自己を高める努力が重視されます。これにより、子供たちは剣道を通じて冷静な判断力や強い精神力を培うことが期待されます。
次に、「技」では、正確な竹刀操作や足捌きの基本が求められます。特に、指導者は剣道指導の心構えに従い、剣道修錬の基礎となる正しい技術を段階的に教える必要があります。
そして、「体」は継続的な稽古を通じて自然に鍛えられますが、子供の体力や成長段階に応じた稽古内容が重要であるため、負担が少ない指導案の作成が求められます。心技体を総合的に育てる指導法として、基本稽古や模範となる試合形式を取り入れることが効果的です。
稽古を通じた人格の形成
剣道は単なるスポーツにとどまらず、「人間形成の道」としての役割を担っています。剣道の稽古を通じて、礼節や謙虚さ、他者への敬意といった人格形成の基盤が養われます。剣道指導者は、剣道の理念を理解し、それを具体的な指導に反映させることが必要です。例えば、稽古の前後における礼の重要性を教えることや、勝敗を超えた努力の意義を伝えることが挙げられます。一人一人の少年剣士が道場で学んだ価値観を家庭や学校生活へと活かせるようにすることが、指導者の使命といえるでしょう。このような指導を通じて、剣道は青少年の健全な発達に役立つ社会体育指導員としての役割を果たせるのです。
節度ある生活態度の促進
剣道では規律を重んじる習慣が養われるため、健全な生活態度の確立にもつながります。剣道の稽古では、時間を守ることや身だしなみの徹底が求められるため、子供たちは自然と節度ある行動を身につけることができます。これは、剣道指導者が一貫して礼法を尊重し、その価値を繰り返し説明する指導法によるものです。また、稽古の中で「集中力」「忍耐力」「思いやり」の大切さを伝えることで、剣道は単なる技巧の習得を超え、日常生活においても役立つ価値観を形成する場となります。指導者としては、少年たちが剣道で学んだ教えを社会生活に持ち帰り、節度ある行動ができるよう導くことが期待されます。
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